こんにちは。

先日、仲間内の行政書士の集まりがあり、AIセミナーを受けた方がいらっしゃったので、AIツールをテーマにディスカッションをしました。そこでわたしたちが課題として捉えたのは、「行政書士にとってAIは業務のどこに立ち、最終的にどこを目指すべきか?」という業務の根本的な自問自答です。

AIツールの使用範囲は行政書士の「本体業務」なのか?

行政書士業務とAIツールの相性について話し合った結果、現在のAI活用は、法令調査や情報収集といった**「段取り段階」**の使用にとどまっているという結論になりました。

「わたしたちの業務の核を**「書類作成」**と定義するならば、この部分が「全自動」にならない限り、「業務にAIツールを本格的に活用している」とは言えないのではないか」という話で一致しました。

AIはまだ、わたしたちの本体業務を支援する**補助的なツール**という立ち位置にいるように感じます。わたし自身は、一番大事な部分を誰かに全部任すのは嫌なので補助ツールのままでいてくれた方が心地よいのですが、それでも「書類チェックなんてしてもらえると助かるな~」は思います。

きっかけはDM:プログラミング学習の誘い

そんな議論をした後日、非常に興味深いDMが事務所に届きました。

それは、プログラミング教育を行う会社からの在宅セミナーの案内です。教材はなんと、「自動車登録業務に必要なアプリをPythonで作成すること」。

対象: プログラム知識ゼロの人。

目標: C言語を学びつつ、最終的にPythonで何であれアプリを作成できる実力をつける(C言語プログラミング能力認定試験2級取得相当)。

プログラム知識ゼロのわたしには、このカリキュラムが妥当なのか、また、本当に実務に繋がるのか判別できません。そこで、すぐに生成AIに分析を依頼してみました。AI曰く、「Pythonの基礎知識の習得として、過不足なく妥当なカリキュラムである」とのことでした。

補足質問で、C言語そのものを基礎から学ぶことについては目標に対して効率が悪いという意見もありましたが、プログラミング基礎のC言語を基礎から学ぶのは理に適っているという意見が強めだったように思います。

なぜ「プログラム知識」が必要なのか?

わたしが主に情報源としているYouTube動画チャンネルの人も現役のエンジニアなので、複数のアプリやシステムを連動させることで業務の効率化は図っていることを解説しています。それはプログラム知識のある人には当然のことが分かります。

とはいってもわたしはプログラミング知識はゼロなので苦手意識がばっちりです。それでも生成AIツールは助けになっているので、いつか複数の作業を連動させたい目標は抱えています。

特に、以下の二つの理由から、わたしはローカル環境で動かせるアプリ開発能力が必須になってくると感じています。

情報漏洩リスクへの対応: 最近の生成AIツールは初心者でも簡単に使える反面、**「情報収集範囲が分からない」**というリスクが警告され始めています。機密性の高い依頼を扱う行政書士としては、情報の安全性を担保できるローカル環境での作業能力は重要です。

知識格差の拡大と人材不足: 生成AIツールが「初心者でも使える(=知識なくても使える)」状況は、**「知識の習得機会を失わせる」**ことにつながります。結果的に、ツールを深く使いこなせる有識者と、単に表面だけ使う初心者との間で、スキルと生産性の差が開くばかりになるでしょう。

初心者向けのAIツールの発展は、知識のない者からするとどんどんブラックボックス化していく中で、「使用者」としてAIを真にコントロールするためには、その仕組みを理解する知識が必要という思いがあります。実際、生成AIが描きだすプログラムのコードの修正作業にベテランが尻ぬぐいして、実際の作業効率が落ちているという報道も目にしています。

ベイビーステップで知識の壁を越える

では、いますぐ有償のセミナーに飛びつくべきでしょうか?

日進月歩で進化する生成AIの技術開発に、一介の個人事業主がどこまで追いつけるかという焦りはあります。しかし、わたしにできるのは、技術習得をベイビーステップで進めることしかありません。

まずは初心者用のテキストを買って独学を目指してみることにしました。

ありがたいことに、現代の学習には最高のツールがあります。独学者の最も苦手とする実務演習環境を構築することは、カリキュラムの設計や練習問題の作成といった補助作業を生成AIに組んでもらうという方法を試すことができます。

「AIを業務に活用している」と胸を張って言えるようになるために、道具としてのAIを使いこなす立ち位置を確立し、少しでも**「全自動」**の領域に踏み込めるよう、プログラム知識という大きな壁を越えていきたいと思います。